2015年12月20日日曜日

12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会アピール

12・5 国連・人権勧告の実現を!
集会アピール

 昨年7月、国連・自由権規約委員会は総括所見を発表し、日本に関して、ヘイト・スピーチ、死刑廃止、「慰安婦」、福島原子力災害など19項目の個別人権課題に関して評価・勧告を行いました。また8月には、人種差別撤廃委員会が総括所見を公表し、朝鮮学校の高校「無償化」排除、沖縄問題など31項目について懸念を表明、または勧告しました。それから1年以上が経過しました。日本政府はこれらの勧告を受けとめ、改善に向けて努力する義務を負っていますが、何ら責任を果たしていません。それどころか人権侵害を強めてさえいます。

 いま琉球・沖縄の人々に対し日本政府は凄まじい人権蹂躙の攻撃を行っています。安倍政権は、「辺野古に基地はつくらせない」という民意を無視し、陸・海警察権力により住民の抵抗を抑えつけ、辺野古新基地建設を強行しています。これは琉球・沖縄の「自己決定権」(国連人権規約第1条)を踏みにじるものであり、国連人種差別撤廃委員会が認めた先住民としての権利を侵害する行為です。琉球・沖縄は日本への強制併合以降、植民地主義的・同化主義的政策により幾多の苦難を強いられてきました。県民4人に一人が殺された沖縄戦、戦後27年に及んだ米軍政支配、「復帰」後の過重な基地負担など。これらの上にさらに新基地が押しつけられようとしているのです。この理不尽を許すことはできません。安倍政権は、琉球・沖縄の自己決定権を尊重し、辺野古新基地建設を直ちに中止すべきです。

 ただ安倍政権が行っている人権侵害は琉球・沖縄に対してだけではありません。
福島の原発事故被害者に対しては、避難指示解除と「帰還」政策が押しつけられています。安倍政権は、「避難指示解除準備区域」に指定した地域の避難指示解除を強行し、さらに解除地域を広げようとしています。事故は終息しておらず、被害は継続し、被曝による健康被害(小児甲状腺がん等)は拡大し続けているにもかかわらず、原発再稼働のために「フクシマ事故」を終わったことにしようとしているのです。これは自由権規約委員会の勧告を無視し、踏みにじる行為です。

 朝鮮学校の子どもたちは依然として高校「無償化」から排除されたままに置かれています。在日コリアンに対するレイシスト・排外主義者たちのヘイト・スピーチは京都朝鮮学校襲撃事件裁判最高裁判決後も続いています。そして、「人種差別撤廃基本法」は実現していません。

 日本軍「慰安婦」被害者の人権、尊厳も回復されないままです。日韓首脳会談(11月2日)で「『慰安婦』問題を早期に妥結するため交渉を加速させる」との合意がなされましたが、安倍政権は「法的責任」を否定し、「人道的」に対応すると公言しています。これは問題解決ではありません。

 安倍政権のもとで、難民認定は遅々として進みません。2014年の難民認定はわずか11人です。安倍首相は、国連総会で難民救済のために経済支援を約束しながら、「日本は難民を受け入れるのか」との質問に対して、「移民受入れより前に、女性の活躍、高齢者の活躍、出生率をあげていく」と答え、難民受け入れを拒否しました。

 安倍政権が戦争法「制定」を強行し、この国を戦争する国に変えていくなかで、自由、人権の抑圧・侵害が拡大していくことは必至です。しかし、市民はもう黙っていません。「自己決定権」に基づき、権利擁護のためにねばりづよく活動を続けています。

 私たちは、この国の人権状況を国際基準に沿って変えていくよう日本政府に求めます。そのために政府から独立した国内人権機関の設置、個人通報制度の確立を求めて運動を強めていきます。

 ナショナリズム、排外主義-「1億総活躍」のもとに人権、自由を抑圧し、平和を壊す動きに対して、私たちは立ち向かいます。世界人権宣言-国際人権法のもとに連帯を広げていきます。尊厳と人権をとりもどし、平和を実現するためにともに力を尽くしましょう!

                 2015年12月5日
          12・5 国連・人権勧告の実現を! 集会・デモ参加者一同