2013年9月28日土曜日

第1回学習会の報告


第1回学習会の報告

 「国連・人権勧告の実現を!」第1回学習会は、2013年9月27日(金)に文京区民センターにて実施されました。参加者は44名でした。責任団体である無償化連絡会の長谷川さんから、実行委員会のいきさつと意義を含めたあいさつの後、2本の講演に入りました。

 まず、ソン・ヘスクさんは、「朝鮮学校に対する差別是正のための国連人権機関への働きかけと国連からの勧告~「高校無償化」からの朝鮮学校排除問題を中心に~」と題して、1990年代の朝鮮学校をめぐる動きと、国連人権機関とのかかわりから始め、過去の国連ロビー活動の経過と勧告内容を、一覧表にしてわかりやすくまとめて報告。
 さらに、今回のオモニ会代表5人とのロビー活動については、写真をたくさん使用して、映像による報告もしてくれたので、当地での活動ぶりがよく理解できました。
 また、朝鮮学校除外の動きと本審査までの流れや、当地での政府と委員のやり取りなども詳しく解説されました。さらに、これまでの国連への働きかけで成功した、山口の助成金創設の体験を話されましたが、せっかく勝ち取った助成金が、今は廃止されている実態から、日本政府や自治体の動きが、いかに国際社会から見ておかしなことかが浮き彫りになりました。
 「朝鮮学校の子どもたちの人権が、日本の子どもたちの人権と同じように守られるべきものと思う。国連に行っていいね、など言われるが本当は行きたくない、多くの金銭的負担や、大変な思いをしなくても済むようにしてほしい。ただ、国連への訴えが、世界のマイノリティの人権に対する、国連の枠組み拡大に役立てばうれしい。」と結ばれました。

 ヤン・チンジャさんは、この学習会の直前まで、国連での安倍の発言に対する抗議文を準備していたという忙しい中を、この会のために詳細な資料を準備してくれました。
 「日本軍「慰安婦」問題、国連での論議開始~マクドゥガル報告まで」と題する講演では、韓国挺身隊が1990年に結成され、やっと被害女性が告発できる条件ができ、初めて金学順が裁判の原告として実名公表。この日を記念して、今年、国連に記念日を作る動きが開始。
 日本政府が、宮沢内閣当時に第1次調査団を結成して以来、アジア女性基金をめぐる攻防があったこと、また、旧ユーゴの紛争で作戦として、女性への強姦が行われたことがあったことで、世界人権会議では、武力紛争下における女性の人権侵害として「全て」の「性奴隷制」を含めることに成功したが、日本政府は「全て」を「現在の」と書き換えて、日本軍「慰安婦」問題を入れないようにしていたことも発覚。
 第50回の人権委員会では、クマラスワミさんが特別報告者に任命され、のちに、今年来日されたマクドゥーガルさんに交代。彼は加害者の処罰と、被害者への国家賠償等を日本政府に勧告した。
 今年の日本政府の報告に対して、朝鮮学校排除について、厳しく追及した韓国のシン・ヘスさんは、1997年に「日本軍「慰安婦」問題解決のための国際活動の成果と課題」を著したが、最後に、「韓国は決して日本のような先進国になってはならないということ。我々は国際社会で尊敬される先進国にならなくてはならない。」と結んでいる、と紹介。
 また、最近の国会動向から、紙智子議員の質問に対して政府は「勧告に従う義務なし」と答弁したことを紹介。日本政府の態度を変えるためにどうするか、かつて第1次安倍政権の時を振り返り、アメリカの圧力が大きな影響を与えてきたことを話し、最後に、27日未明に、安倍が国連で平和や人権を尊重する国になるなどと、白々しいことを発表したことに対する抗議文を紹介されました。

 会場からの質疑では、日本軍「慰安婦」という呼称について、また、現在名古屋を皮切りに「慰安婦は捏造』展が行われようとしていることにどう対抗すればいいか、ということについて意見交換しました。