2017年4月1日土曜日

第20回学習会 ハーグ条約と親子断絶防止法案

第20回学習会 ハーグ条約と親子断絶防止法案
 

 家父長制が家族の基本となっていた戦前は、長男のみが家の相続人として位置付けられ、夫婦関係が破たんすれば母親は追い出されるのが、当たり前でした。現在は離婚家庭の子どもの8割を母親が引き取ります。しかし養育費は、そもそも取り決めができるのは4割以下ですし、しても養育費が数年で途絶えるようなことも珍しくありません。平均男女賃金格差が60%と収入にはっきり性差がある社会で、シングルマザー家族の多くは貧困です。

 1980年に成立した「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(ハーグ条約)は、数多くの懸念をよそに2014年、日本も批准しました。これはそもそも単独親権を前提として、母親の監護のもとから父親が子どもを連れだすことを防ぐ目的で作られた条約です。その後共同親権が広がり、ハーグ条約も共同親権も、その後にドメスティック・バイオレンスが社会問題になるにしたがって、そのあり方や運用に大きな疑問が投げかけられています。

 アメリカでは年間約70人ほどの子どもが面会交流のときに、殺害されています。日本でも面会交流に子を連れて行った母親が父親に殺されたという事件が起きています。解決の仕方はもっと多様にあるはずです。

 早くから危険を発信してこられた千田有紀さん(武蔵大学)にお話しいただきます。もう法案は動き出し、待ったなしの状態です。
 
  
◆講師:千田有紀さん(武蔵大学・社会学)
  
◆日時:2017年4月24日(月) 18:30~20:30
  

◆会場:連合会館 5F 501会議室(千代田区神田駿河台3-2-11)
http://rengokaikan.jp/access/

千代田線・新御茶ノ水駅 B3出口(徒歩0分)
丸ノ内線・淡路町駅 B3出口(B3出口まで徒歩5分)
都営新宿線・小川町駅 B3出口(B3出口まで徒歩3分)
JR中央線/総武線・御茶ノ水駅聖橋口(徒歩5分)

◆参加費:500円


*チラシのダウンロードはこちらからどうぞ!


主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com
Blog:      http://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
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2017年3月10日金曜日

第19回学習会の報告

第19回学習会 報告

●テーマ:現代の治安維持法「共謀罪」=共謀罪法を成立させずに、国連組織犯罪条約は批准出来る=
●講師:海渡雄一弁護士
●日時:2017年3月7日(火)

 3月7日、国会会期中だった。メディアや国会で問題になっている森友学園問題は、日本会議の卑劣さと安倍内閣の隠ぺい体質、そして政府や政治家のおごりと金権体質を明らかにしていた。そういう政治状況の中で共謀罪の学習会は行われた。会場に椅子が足りなくなるほどの盛況さであった。皆さんの共謀罪についての関心の深さがよくわかる学習会になった。

 90枚ほど作成されたパワーポイントを見せながらの海渡弁護士の80分間にわたる説明に、参加者は理解を深めるとともに、危機感を更に募らせた。

 海渡さんのレジュメとパワーポイントに従って要約する。

 共謀罪の立法化はなぜ提案されたか?

  政府はテロ対策と説明しているが、理由そのものに大きな混乱がある。批准しなければならないと説明している国際組織犯罪防止条約は、そもそもテロ防止目的の条約ではない。これまでの日本の法律で対応できるので、広範な共謀罪を制定する必要は全然ない。政府の説明には重大な問題が隠されている。

「社会の安全のためには、いったん悪いことを考えた人を処罰する必要がある」?

 共謀の段階から人を処罰すると言うのは、「人は悪いことを思い立ち、他人と合意すれば、それは必ず実行するものとして処罰する必要がある。実際には実行されない犯罪だとしても社会の安全のためには、いったん悪いことを考えた人を処罰する必要がある」という恐ろしい人間観に立っている。

 共謀罪は、犯罪の未然予防のために徹底した管理社会を作り上げ、社会を敵と味方に分け、市民社会自体を終わりなき戦争状態に置くことになりかねない。国家が市民社会に介入する際の境界線を大きく引き下げるもので、盗聴捜査の大幅な拡大を招く危険性をはらんでいる。監視社会の中で、市民は萎縮し、自由に発言できなくなり、国家の内実を知ることができなくなる。沈黙を強いられる社会になってしまう。

政府の説明は恐ろしい内容を想定させる

 先日法務省が説明したことによると、例えば「座り込みをしよう」と話し合った市民団体は、それだけで組織的威力業務妨害を目的とする組織的犯罪集団とみなされる可能性がある。相談しただけで、申し合わせをしただけで犯罪になるという恐ろしい法案を政府は予定している。

変節し、理解できない政府の説明

 元々共謀罪の新設は、日本の法制度の基本原則からみて、不可能であると日本政府は考えていた。

 2006年には法務省は日本に使う必要性のない法律だと説明していた。国内法で立法事実もないのに急に提案に至った裏に、アメリカの圧力があると考えられる。今やテロ対策に必要であると意図的に説明を変えてきた。

密告が奨励される法律である

 組織的犯罪集団の活動として、実行するための組織であること、合意に基づく準備行為であることなどが内容に盛り込まれている。その中で、犯罪の実行着手前に、自首した時はその刑は減免されるという内容は、密告すれば減免されるという密告奨励になりかねない。悪用すれば、犯罪を持ちかけ、会話を録音し、相手の同意を得て警察に届けると、持ちかけたものは処罰されずに、同意したものだけが処罰されるということになりかねない。市民団体にスパイを送りこんで、犯罪を持ちかけ多くの関係者を罪に陥れることもあり得ないことではない。

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 質問も共謀罪の時効の問題、二重起訴の問題、オリンピックとの関係、組織犯罪集団の指定、アメリカの市民運動との比較、最近の国会情勢についてと鋭い質問が相次いだ。それについても時間ぎりぎりまで丁寧な説明が続いた。

 戦前の治安維持法が左翼政治集団だけでなく、キリスト教団体、宗教団体、その中に創価学会も弾圧されていた歴史的事件を知り、さらに危機感を募らせた。「ものを考えて、口に出した。それを聞いてしまった。そして頷いた。その場に一緒にいた。」それだけで犯罪になる。言葉・コミュニケーションが犯罪になる社会が来てはならないと強く思った。

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 膨大で歴史的な講演内容をまとめることはとても困難である。さらに詳しいことを知りたい人は「新共謀罪の恐怖」(平岡秀雄・海渡雄一共著 緑風出版)をお読みください。

 また、エドワード・スノーデンの実話を映画化した「スノーデン」(オリバー・ストーン監督)の紹介があった。この映画でアメリカ政府による世界の通信網に対する包括的な傍受の実態を暴露しているそうだ。

 特定秘密保護法、安全保障法制、盗聴を拡大し司法取引を導入する刑事訴訟法の改定など、日本のこの法制改定の動きは、アメリカ同様の強力な監視社会が目前に来ている危険性を強く感じた。と同時に、共謀罪が追加されると、何時でも戦争できるという社会が迫っていることを社会に知らせる早急で幅広い運動が必要だと強く感じた。
 
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 なお、当日の動画はこちらから。(UPLAN三輪祐児様、humansystem様、撮影をいただきありがとうございました!)

20170307 UPLAN 海渡雄一「~すべての人に尊厳と人権を~現代の治安維持法「共謀罪」―共謀罪法案を成立させずに、国連組織犯罪条約は批准できる―」
https://www.youtube.com/watch?v=UI4k_TvHq9U

'17.03.07 「第19回学習会 『現代の治安維持法「共謀罪」 - 共謀罪法案を成立させずに、国連組織犯罪条約は批准できる -』」 at 連合会館 501会議室
http://twitcasting.tv/humansystem/movie/353426196
 
 

2017年2月5日日曜日

第19回学習会 現代の治安維持法「共謀罪」 ―共謀罪法案を成立させずに、国連組織犯罪条約は批准できる―

第19回学習会  現代の治安維持法「共謀罪」

―共謀罪法案を成立させずに、国連組織犯罪条約は批准できる―



 2017年1月20日から通常国会が始まりました。この国会には重要法案として、これまで2003年の提出以降、3回も廃案になっている「共謀罪」が、名前を「テロ等組織犯罪処罰法」と変えて提出されています。犯罪が行われていないにもかかわらず、犯罪の計画段階で処罰すると言う極めて危険な悪法です。
 
 日本は2003年「国連組織犯罪防止条約」を国会で審議し、賛成多数で可決しましたが、この条約を批准するための国内法の整備が出来ていないとして、「共謀罪」を再三提出してきたのです。
 
 しかも今回は、すでに187の国や地域がこの条約を批准し、2020年のオリンピックまでには何としても国際社会と協力をしなければオリンピックが開催できない、と主張しています。かつて「秘密保護法」を強行採決したときには、国連から日本の「秘密保護法」は国際社会の共通原則である「ツワネ原則」を遵守していないことで、厳しい勧告を受けました。
 
 今回の国際社会との協調、オリンピック開催に必要という政府の主張について、また今回提出される法案の問題点について、この問題に詳しい海渡雄一さんのお話をお聞きし、一緒に考えていきましょう。

(なお、今国会は予算審議が専決事項であり、前国会で積み残された法案についての審議もあるので、この法案については、3月頃になるのではないかと言われています。)




◆講師:海渡雄一さん(弁護士)

[プロフィール]1955年生まれ。東京共同法律事務所所属。日弁連秘密保護法対策本部副本部長/監獄人権センター事務局長/脱原発弁護団全国連絡会共同代表/脱原発法制定全国ネットワーク事務局長。2011年米紙『フォーリン・ポリシー』世界の100人にパートナー福島みずほさんと共に日本人で初めて選出。『危ないぞ共謀罪』『何のための秘密保全法か』『原発訴訟』など著書多数。

◆日時:2017年3月7日(火) 19:00~21:00

◆会場:連合会館 5F 501会議室(千代田区神田駿河台3-2-11)

千代田線・新御茶ノ水駅 B3出口(徒歩0分)
丸ノ内線・淡路町駅 B3出口(B3出口まで徒歩5分)
都営新宿線・小川町駅 B3出口(B3出口まで徒歩3分)
JR中央線/総武線・御茶ノ水駅聖橋口(徒歩5分)

◆参加費:500円



主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com


2017年1月31日火曜日

第18回学習会の報告

第18回学習会報告

●テーマ 「国家戦略特区と家事支援人材」
●講師 竹信美恵子さん(ジャーナリスト、和光大学教授)
●日時 2017年1月26日(木)19:00~21:00

1.外国人労働者の3つの入口

 これまでの①熟練・高技能労働者=表玄関、②「ブラジル日系人」=表玄関、③実習生という名の偽装低賃金労働者=勝手口、④オーバーステイ・人身売買=裏口に加え、新たに⑤高度外国人人材という表玄関労働力が入れられるように。家事支援人材は⑤のひとつ。①の名のもとに②③に近い労働力を導入し、特区という入れ物に放り込んでその妥当性についての公的論議を封じ込めて強行突破している安倍政権。

2.介護実習生と実習生問題

 産業構造の転換と高齢化、景気の停滞、低福祉を基本にした税の使途によって、法定の賃金を払えない産業(製造業、介護など)が増加した。しかし構造の組み換えをせず、既得権益を維持するために労働者にしわよせ。外国人研修生制度には批判があったので労基法が適用される実習生制度へ変わったが、産業構造は変わらないため、長時間労働、残業代のごまかし、家賃や備品費を不当に高く徴集して賃金を取り戻すことが横行。
 家事労働については先行産業が育っておらず「実習」という枠組みでは無理なため「特区」に。

3.家事労働者問題とは何か

 グローバル化の中で起こる男性雇用の不安定化と女性の労働力化。少子高齢化、公的な財源の不足。女性が働くには保育介護サービスが不可欠なのに公的福祉は後退。その穴を埋めるのが家事労働者。シンガポールや香港がその典型。
 しかし家事労働は危険労働。弱い立場に置かれるため虐待が国際的な問題になり、2011年、ILO家事労働者条約(189号条約)が採択された。日本政府は採択当時、賛成している。

4.なぜ「特区」なのか なぜ「家事支援人材」なのか

 2013年、在日米国商工会議所からの要望を皮切りに急ピッチで進展したと言われている。労働者ではなくサービスのための材で、労働法の規制を飛び越える「特区」の利用が進んでいる。
 国家戦略特区の第一次指定地域としては、東京都、神奈川県、成田市、新潟市、大阪府、兵庫県、京都府、福岡市、沖縄県。
 国家戦略特区を決める「三者統合本部」(特区担当大臣、自治体の首長、企業)には労働組合が入っておらず、経済界がすべて決めてしまう仕組みとなっている。行政と経済界が結託し、規制緩和をどんどん進められてしまうつくり。

5.家事支援人材制度の問題点

 ①「指針」であって、労働法ではないため、訴訟などに発展した場合の効力に疑問、②特定期間を認定する第三者管理協議会には政府機関のみが入っており、労働法を決める際の基本条件である政労使合意の場はない、③研修でもないのに労働者は3年で帰国させられる。

6.導入状況

 神奈川県が参入希望業者からの申請の受付を始め、8社(パソナ、ベアーズなど)前後が参入を希望し、この4月から計70~80人程度の受け入れ見込み。大阪ではこれから特区諮問会議の審議→首相の認定→相手国との調整→6月から事業実施の見込み。導入後の実態はまだ不明。

7.日本社会になにをもたらすのか

 低福祉社会の下支えと福祉サービスの自己責任化をもたらすだろう。「税金による福祉」から「自分で買う福祉」へと変わる可能性がある。また、同一労働同一賃金の名のもとに、日本の家事・福祉労働者全体の人件費を最低賃金レベルへと下げていく可能性がある。

8.家事労働者の受け入れに必要なこと

―家事労働者の労働権確保による家事サービスの質向上と社会的緊張の緩和
―家事労働者のための独自の相談窓口の設置。たとえば既存ユニオンのHPなどにリンクを貼り、労働側からの苦情受け皿づくりへ。フェイスブック労働相談のような取り組みを拡大。
―家事サービスを自前購入して済む一般労働者の労働時間規制
―最低賃金の引き上げの重要性
―国際基準の同一(価値)労働同一賃金制
―「財政難だから社会保障削減」の発想転換
―家事労働者条約の批准運動
―サミットへの申し入れ、権利チェックリストなどの働きかけの強化
―日本社会の家事福祉労働の価値の見直し

9.外国人労働者全体に必要なこと

 労働者は人。労働力には人がついてくる。労働力としての部分利用とご都合主義から抜け出し、人として受け入れる道を考えることが現実的な選択。「安い労働力」から「必要な労働力」へ。

●質疑応答・意見

 すでに始まっている特区のチェックシステム、チェックリストの内容、日本人の福祉労働者の現状、アメリカでの家事労働の現状、フェイスブックの取り組みなどの拡大、実習生制度との比較などについて質疑応答・意見があった。

2016年11月28日月曜日

第18回学習会「『外国人労働者拡充』の問題について」

第18回学習会 「外国人労働者拡充」の問題について


 2016年11月に「技能実習制度適正化法」が成立し、外国人の在留資格に新たに「介護」を設ける「出入国管理及び難民認定法」の「改定」が行われました。実習期間も最長5年間に延長されます。

 有料老人ホームからは「介護を担う人が不足しているため、外国人にすがるしかない」などの反応がありました。人手不足を安価な働き手で補い、しかも短期的に受け入れることはどのような結果をもたらすのでしょうか。本当にこの政策で外国人労働者の「労働権」が守られるのでしょうか。

 国内外から「奴隷」と批判される劣悪な労働環境のもとに実習生は置かれています。時間外労働や賃金の不払いも過去最多になっているのが現状です。2014年4月に亡くなったフィリピン人男性は、2016年8月に過労死として労災が認められました。外国人労働者の「人権」は、今後きちんと保護されるのでしょうか。

 そして、この問題が日本全体の労働環境にどのような影響を与えるのかも含め、自分や周囲の人たちの労働環境と重ねあわせながら、一緒に考えていきましょう。

*チラシはこちらからどうぞ!


◆講師: 竹信三恵子さん

(ジャーナリスト、和光大学教授。元朝日新聞経済部記者。2009年に貧困ジャーナリズム大賞受賞。『ルポ賃金差別』『家事労働ハラスメント』など著書多数。)


◆日時: 2017年1月26日(木) 19:00~21:00


◆会場:スマイルなかの 4階 多目的室
(中野駅北口より徒歩7分/中野区中野5-68-7)
http://www.nakanoshakyo.com/access/

◆資料代:500円

主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会

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